慶應 総合政策 小論文 2026 解答速報をお探しの皆さん、試験お疲れさまでした。
現役ジャーナリストであり、慶應義塾大学SFCを一般入試で合格した筆者が、2026年度小論文の本質を徹底解説します。
まず最初に伝えたいのは、この問題を時間内に書き上げたこと自体が素晴らしい成果だということです。2026年度の問題は、単なる受験勉強の枠を大きく超えた、深い哲学的素養が試される超難問でした。社会人が解いても納得感のある正解を出すのは容易ではないレベルです。
今年の印象:トリッキーさは抑えめ、だが「本質」を突く良問
慶應SFCの2学部を野球で例えるなら、総合政策学部がピッチャーの投げるストレートだとすれば、環境情報学部は変化球です。どちらもクセのある問題であることは確かなのですが、環境情報学部の方が例年、よりトリッキーな傾向があります。
ところが2026年度の環境情報学部の小論文は、例年と比べてトリッキーさが抑えめでした。これは、2026年の総合政策学部が「バック・トゥ・ザ・ベーシック」とも言える王道路線を突き進んだことと、無関係ではないかもしれません。2学部が足並みをそろえるように、環境情報学部もSFCのエッセンスをストレートにぶつけてきた印象です。
とはいえ、「簡単になった」というわけではありません。トリッキーさの代わりに、より本質的な思考力が問われる構成になっており、しっかりとした対策なしに太刀打ちできる問題ではありません。
最新トレンドのアップデート:カーボンニュートラルからパンデミック以降の視点へ
今回の問題で印象的だったのは、資料の題材に時代の新しさが感じられる点です。カーボンニュートラルやCOVID-19のパンデミック、人口減少や超高齢化といったテーマは、10年前なら出題されなかった(あるいは扱われ方が全く違った)ものばかりです。
問題は「ニュースを見なさい」と直接言っているわけではありません。ただ、社会の超グローバルなトレンドを肌感覚として持っているかどうかは、問題文に入る前の段階からすでに問われています。知識の丸暗記ではなく、日頃から世界の動きを自分事として捉えてきたかどうかが、こういう問題で如実に出てくるのです。
【分析】「環境」をどう定義するか?公式見解を超えた自分の視点
学部の定義に「引きずられない」勇気が合格への鍵
今回の問題で問われたのは、「環境情報学部における『環境』をどう定義するか」というテーマでした。卒業生の目線から言っても、これは正直なかなか答えづらい問いです。在学生でも「環境情報学部って何をやっているの?」と聞かれると説明に困るくらい、間口が広い学部なのです。
学部の公式見解としては、「自然環境・生態環境・社会環境・人工環境」といった分類が示されています。しかし、この教科書的な定義をそのままなぞるだけでは、合格答案にはなりません。大切なのは、その定義を出発点にしながらも、自分のフィルターを通した視点で「環境」を捉え直すことです。公式の説明に引きずられず、自分の言葉で定義できる受験生こそが、環境情報学部の求める人物像に近いと言えるでしょう。
なぜ今、哲学や心(倫理)の資料が並んだのか?
資料のラインナップを見ると、音楽入門・心の処方箋・アスペルガーの感じ方・情報工学・生物の生態環境など、一見バラバラに見える文章が並んでいます。医療やテクノロジー系の資料が増えるかと思いきや、哲学や「心」に関わる内容が中心になっていました。
これは偶然ではないと思います。AIをはじめとするテクノロジーが急速に発展するほど、人間は「倫理観」や「哲学」を強く求めるようになります。「機械が判断してよいことの限界はどこか」「AIに頼りすぎることの危うさとは何か」——こうした問いへの感度こそが、テクノロジーを扱う学部で学ぶうえで不可欠だというメッセージが、資料のセレクションに込められているのではないでしょうか。
問1:読解力の基礎|多様な資料を「情報」として整理できたか
問1は、国語力・読解力を問う設問です。音楽・心理・障害・情報工学・生態学と、一見バラバラに見える資料群から何を読み取り、どう整理するかが問われました。
コツは、表面上のテーマの違いに惑わされないことです。「心と環境の関係性」「人間を取り巻くものをどう定義するか」といった共通項を見つけ出し、資料を有機的につなげることができれば、説得力のある要約・整理ができます。バラバラに見えるものから「共通のテーマ」を抽出する力は、SFCで実際に求められる思考力そのものです。
問2・問3:SFCの真骨頂「作図」と「解決策の提示」
問2では、文章だけでなく図を使って考えをまとめる「作図」が求められました。環境情報学部らしい設問で、プレゼン能力・視覚的な表現力が試されています。
そして問3こそが、この入試の核心です。自分で問題を発見し、フレームワークで捉え、解決策を自由な切り口で提示する——まさにSFCで4年間やり続けることを、解答用紙の上でやってみせる設問です。
さらに、将来のビジョンをほのめかしながら解決策を提示することも求められており、ペーパー上で面接が行われているような感覚になります。具体性と一貫性を持ったアイデアを示せた受験生が、合格に近づいたと言えるでしょう。
M.A.の視点:環境情報学部が求める「未来のリーダー」の姿
具体性と将来ビジョンを込めた「解決策」の鋭さ
投資家がスタートアップのピッチ(プレゼン)を聞くとき、最も重視するのはアイデアの「実装可能性」です。「面白いコンセプトだけど、本当に実現できるの?」という問いに答えられるかどうかが、評価の分かれ目になります。
今回の環境情報学部の問3も、まさに同じ構造です。社会問題に対して「なんとなく良さそうな解決策」を並べるだけでは不十分で、「なぜその問題が重要なのか」「どんなアプローチで解決するのか」「自分はSFCでどう学んでそれを実現するのか」という筋道が見えて初めて、採点者の心を動かせます。受験生のアイデアの解像度と、それを支える論理の強さが問われた問題でした。
まとめ:SFC小論文対策に「正解」はないが「型」はある
2026年度の環境情報学部小論文を振り返ると、表面的なトリッキーさこそ抑えめでしたが、むしろSFCの本質的な力——読解・定義・図解・問題発見・解決策の提示——をまんべんなく問う、骨太な構成だったと言えます。
総合政策学部との比較で言えば、問われている「思考の型」は共通しています。違うのは、その型を試す「素材」と「切り口」です。▶ 総合政策学部の小論文分析はこちら
そしてどちらの学部にも共通して言えることは、日常的にニュースや社会のトレンドを「自分事」として考え続けることが、最大の対策になるということです。知識を詰め込むのではなく、思考の習慣をつくること——それがSFC小論文の「型」を身につける、一番の近道です。